第84章

前日の疲れが効いたのか、アリシアは見事に「寝坊したい」という願いを叶えていた。念を押されていた侍女たちも、今日は彼女の部屋に近づかない。

目が覚めたときには、日差しがもう尻に届きそうな勢いだった。

――けれど、遅起きが幸運を連れてくるとは限らない。

アリシアはすっかり忘れていたのだ。昨夜、母――ロゲスト公爵夫人は夜会へ出ていた。夜会の終わりなどたいてい真夜中近い。夫人が帰宅したのは昼を回ってからで、そんな時間に戻ってきた人間が、理由もなく早起きするはずがない。

身支度を整えて階下へ降りたアリシアは、ちょうど広間でその「不運」に出くわした。

公爵夫人がエイモスの襟元をつかむ勢いで説教...

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